いくつになっても末っ子気質

思ったことをつらつらと 三十路真っ只中主婦のエッセイ 

ケーキ屋さんのジレンマを感じた瞬間

ケーキ、それはいくつになっても心踊る存在。

買う時はもちろん、家に帰って箱を開ける瞬間もまたわくわくが止まらない。

 

そんなお持ち帰りケーキたちの様子が最近変わってきたのだ。

 

箱を開けた時のわくわく感までは今までと変わらない。問題はその次だ。

美味しそうなケーキたちを箱から出そうとするその時である。

 

え、動かないんですけど?

 

そう、最近のお持ち帰りケーキはセロハンテープで固定されていることが多い。

厚紙を丸めて隙間を埋め、ケーキが動かないようにしてくれる心遣いは今までも多々あった。今ではその心遣いにプラスして、土台と箱をセロハンテープで止め、左右の揺れに対して万全な態勢を構えてあるのだ。なるほど、こういった細工をしてくれてるから箱詰めにもやたら時間掛かってるのね。おかげで家に帰って箱を開けてもケーキ同士がくっついていたり崩れていたりということは少ない。

 

しかし、しかしである。そのテープが取りづらくてかなわないのだ。

結果、力を込めて取った瞬間に反動でケーキが動き、綺麗な外見を崩してしまうことが多発している。

 

丹精込めたケーキたちを美しいまま持ち帰ってもらいたい、そんなケーキ屋さんの心遣いには頭が下がる。だがしかし、そこには少なからずクレーマーの存在も関係しているのではないかと思ってしまう。“崩れてた!”なんてイチャモンをつけられることはあるだろうし。

 

わたしから言わせてもらえば、そんなん当たり前じゃんという話である。

 

ケーキというのは繊細なものなわけで、持ち運びに気を遣うのは当然のことである。

仮に“崩れてた!”なんてクレームをつける人がいたとして、その人は自分がどんな運搬をしていたかという点を考察することはないのだろうか。そりゃ転んだり落っことしたりすればいくらなんでも自覚はあるだろうが、いつも通り歩いていたつもりが、手の振りが大きかった為に崩れたなんてことも有り得るのだ。

その点で言えばセロテープ作戦は妙案である。運搬中に崩れたんなら“店側の落ち度だ!”ということも出来てしまえるが、固定されて綺麗な状態のものを自分で崩してしまったんなら文句は言えないもんな。

 

要するに何を言いたいかと言えば。

 

世の中のケーキ屋さんたち!丹精込めて作ってくれたケーキたちは細心の注意を払って持ち帰るから過剰な気遣いは無用だよ!買った後の責任は客側にあるんだから!大丈夫だよ!いつも美味しいケーキを作ってくれてありがとう!

 

ということだ。

個人的にはテープで固定まではしてくれなくていい。その方が待ち時間も減るし、出す時もスムーズだから。そのうち“テープのせいで崩れた!どうしてくれるんだ!”と言い出す客が出てきやしないか、それが心配である。

 

これはケーキ屋さんに限った話ではない。

クレームを言ったもん勝ちみたいな風潮は止められないものか。消費者に対して過敏にならざるを得ない世の中というのはあまり好ましくないように思う。生産者や店側と消費者や客側の力関係は対等であるべきではないか。そうなれば双方気持ちよく過ごせると思うのだが。お金を払っているほうが強いのは仕方ないが、横柄になっていいということではない。生産者や店側だって人間だもの。もちろんその反対も然り。

 

相手に文句を言う前に、まず自分に落ち度はなかったかを考えられる人間でありたいと思う事柄であった。