いくつになっても末っ子気質

思ったことをつらつらと 三十路真っ只中主婦のエッセイ 

太鼓音との戦いだったMRI初体験

金属探知機によるチェックを無事クリアし、いよいよ本丸へ攻め込む時が来た。

これよこれ、ドラマで見たことあるでっかい丸い筒。やっとこいつに入る時がきたのね。

 

ここに来るまでのお話はこちら。

 

inumanigourmet.hatenablog.com

 

なんだこの部屋、めちゃくちゃうるさいな。

ぽんぽんぷしゅー、ぽんぽんぷしゅー。なんだこの不規則なリズム音。それに負けじとクラシックもかかってるし。なにこれメガネくんの趣味?

 

謎の音たちについて聞きたかったが早く横になりたい気持ちが勝って聞けずじまい。もやもやを抱えたままメガネくんに言われるがままに細長い台に横たわる。

気分悪くなったらこれを押してねとナースコール的なものを握らされ、あれよあれよとバンドで体を固定され、動くと撮り直しになって時間長くなるよと脅される。目は開けても閉じてもいいらしい。音がうるさいのでこれ着けるねとでっかいヘッドホンを装着された。所要時間は30分くらいだと言われ驚愕した。レントゲンみたいな気持ちでいたから一瞬で終わるんだと思ってた。え、待って、30分も動けないの?それきついわ、もう眠るしかないじゃんね?動揺した心を鎮めようと躍起になっていると仕上げに毛布的なものをかけてくれた。ありがとう、一枚かかってると安心感が違うよね。って、足、足にかけておくれよ、爪先が寒い、ひもじい、心許ないよ...そんな心の叫びを届けられるほどの余裕は無く、願い虚しくメガネくんは退出、筒の中へと誘われた。

 

へ?なにこれMRIってこんなに狭いの?

いや、狭いというか圧迫感が酷い。目と筒との距離が体感5cm。入ったことはないが蓋をされた棺にいるかのようで怖かった。これで30分も動いちゃいけないの?これはきつい。ああ、狭いところは大丈夫かって聞かれた意味がわかったわ。大丈夫じゃないわ、怖いわ。ここまで狭いと思ってなかったわ。まさかこれが閉所恐怖症ってやつなのかしら。

 

ぽん!ぽん!ぷしゅー!

 

は!?なにこのでかい音!?怖い!

突然の大きな音に恐れ慄き逃げ出したくなった。耳元で巨大な太鼓を鳴らされているような、でかい風船の空気を抜くような、そんな音が不規則に襲ってくる。いつくるかわからないドキドキ。そうか、この為にヘッドホンを付けたのか。音の止み間にはクラシックが聞こえてくる。なるほど、メガネくんの趣味かと訝しんだ音と音楽はこれだったのか。気を紛らせてくれる為のクラシック、技師さんの優しさだったのね。ありがとう、ありがとうメガネくん。

 

狭いだけなら目を閉じてあわよくば眠ってしまえれば30分くらい余裕だったろう。

しかしだ、この音はきつい。眠れるはずがないし、不規則なのがどうにもきつい。規則性があれば予測が出来て心の準備も出来るがそれが出来ない。びっくり屋さんにはとてもきつい。

 

視界のどこかに残り時間を出してほしい。それがあればどれだけ励みになったことか。これで30分どうやり過ごそうと考えた結果、太鼓音に向き合ってみることにした。注意深く聞いてみると不規則な中にも規則性が見つかりだした。1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,ぷしゅー。お、カウント10で空気音パターンが多い、むむ、今度は違う。そうやって太鼓音攻略に挑んでいた。合間にはクラシック。止むことなく何かしらの音が襲ってくる。MRIってこんな騒がしいものだったのか。

 

お疲れさまでしたー。

 

メガネくんからの天の声によりMRI初体験は無事終了した。

うん、2度とやりたくない。