いくつになっても末っ子気質

思ったことをつらつらと 三十路真っ只中主婦のエッセイ 

産気づいた妊婦にしてはいけないもの

今思えば、便意だと思っていたものが陣痛の始まりだったようだ。

 

inumanigourmet.hatenablog.com

 

真夏の午前5時頃、街はまだあまり目覚めてはいないので出来るだけ物音を立てないように部屋を出て車に乗り込んだ。

産院までは徒歩10分ちょっと、車なら10分かからない場所にある。

運転手は夫。道はわかるはず。わかるはずだが時折まごまごしている。

我が家から産院までは近いし道も複雑ではないのだが、一方通行が多いので普段徒歩や自転車の人が車で行こうとすると通れない道があって戸惑うのだ。

 

おい、まさか道わからないんじゃないだろうな?

押し寄せるお腹の痛みを抱えながら不安がよぎる。

そしてぽそりとわたしに道を尋ねてくる始末。

嘘だろ?産院までの道完璧じゃないの!?

ああ、産院はもうすぐそこなのに。近くて遠い。一方通行が恨めしい。

 

多少時間はかかったものの、無事産院に到着。

コロナ対策の為夫は中には入れず助産師さんが駐車場まで迎えに来てくれた。

押し寄せる痛みの合間をぬって産院の中へと歩みを進めた。

 

夫は普段から落ち着いていて、危機管理能力も高い方だと思う。何かアクシデントがあったときでもわりと冷製沈着に対応出来る彼でも、産気づいた妻を目の前にして動揺していたのかもしれない。送り届けてくれたことは感謝していたが、スムーズに送ってくれよ!と苛立っていたのも事実。

 

これから出産に挑む妊婦さんを送り届ける予定のある皆さん、どうか道順は完璧に頭にいれておいてください。予行練習もしておいてください。本番は突然やってきます。

産気づいている妊婦に道を尋ねてはいけません。

痛みに耐えるのに精一杯です。

正常な受け答えなど出来ません。

妊婦を苛立たせるだけです。

どうかお気をつけください。