ヨサ体験記
ヨサとの出会いはポストに入れられた折り込みチラシだった。
そこには妊活の文字も踊っていた。
34歳淡い妊活中のわたくし団子、このチラシに乗っかってみることにした。
まずもって“ヨサ”とは何か?体験を元に結論から言うならば、
フード付きのポンチョ的なものを羽織り、ハーブのミストが出てくる椅子に座って子宮から温めちゃうぞ!そしたら大量の汗が出て来て気持ち良いんだから☆
的なものだった。わかりやすく言えば、よもぎ蒸しのハーブ版といったところだろうか。
まずはネットで予約。
初回クーポンで、マッサージやら足湯やらヨサやら全部セットになった13800円のコースを7800円で受けてきた。
地図を見ながら到着したところは、とてもマンションとは言い難い“え、うそだろ?”と言ってしまうような古びた建物。その一室が目的地だった。意を決してチャイムを鳴らす。返事があり、女性スタッフさん(ここではAさんとしよう)がドアを開けて招き入れてくれた。なるほど、中はそれなりに綺麗である。ちょっと安心。まずは問診票のようなものに記入を促され、ヨサとはどんなものかという説明を受ける。そして水素水が出される。Aさんは水素水がいかに優れた水かというアピールも忘れない。歩いてきたのと緊張していたのとで喉が渇いていたので結構な勢いで飲ませてもらった。
ひとしきり説明やらアピールやらを受けたあとは、汗が沢山出る仕様になっている専用スーツ的なものに着替えるよう指示され、マッサージからスタート。より効果を得たいのならばメイクも落としたほうがいいと言われたので、着替えの時に用意されていたメイクシートで軽く拭き取っておいた。
チタニウムとかいうもので出来ている石みたいなものを使って電気カーペット的なものの上でマッサージしてくれたのだが、これが痛い!とても痛い!通ってるうちに痛く無くなるから〜などと楽しそうに告げるAさん。ほら!もうこんなに違ってる!とかなんとかテンション高く言ってくるが、何一つ共感出来ない団子。
マッサージ中もヨサが如何に優れたものかを刷り込んでくるAさん。
しかしながらその呼気からは内臓が悪い人特有のかほりが漂っていた。
ずっとハイテンションで喋られまくりながらのマッサージが終わり、足湯へとすすむ。
その足湯もやはり水素水らしい。10分ほどの足湯が終わり、“水素水だとこんなに柔らかくなるのよ〜”と、ここでも水素水の売り込みを忘れない。
そしてメインイベントのヨサ登場。
お尻のところから蒸気が出てくるでかい椅子に座り、フード付きのポンチョ的なものを被る。そして40分ほど蒸気を浴び続けるというものだ。
子宮を直接温める→子宮の冷えが取れる→妊活に良い
という図式らしい。
ヨサ中は暗くした部屋に1人にしてくれる。やっとAさんから解放された気分である。
この間も水素水を飲むように促され、途中おかわりも注ぎにきてくれた。
暑い、非常に暑い。
ヨサというのはとっても暑かった。体はもちろん、お尻やら子宮やらに蒸気が直撃しているのがまた熱い。謳い文句通り汗は出た。有り難く水素水も沢山頂いた。
そしてヨサ終了。
“凄い汗だねー!水素水はデトックスだからね!”と、わたしの顔を見たAさんは宣ったが、ここに着いてからでかいコップに3杯か4杯、合計1リットル、下手したら2リットル近く水を飲んでいるのだ、それが水素水でなくても汗は出るだろう。それだけの量の水を飲んでいたので尿意も襲ってくるわけで。お手洗いを借りたいと言うと、“水素水はねぇ、デトックスだからねぇ”と、あくまで水素水の効果だと言い張るAさん。強い、強すぎる。
スーツから私服に着替え再度マッサージ。
その間もヨサのアピールは続き、わたしの体が如何に冷えているか、如何に治さなければいけないか、ずっと喋られっぱなし。最初は団子さんと呼ばれていたが、気づけば団子ちゃんと呼ばれるようになっていた。
普段は歩いたり自転車乗ったりスポーツしたり、出来るだけ体を動かすようにしていると言えば、
そんなことしなくてもヨサだけで痩せられるし健康になれるのに!
アスリートに早死が多いのって知ってる〜?
もう団子ちゃん通おう!ヨサ通おう!冷え取ろう!
と、一蹴された。早死って...。通おうって...。
そんなこんなで全ての施術が終わり、そこからAさんの凄腕が炸裂する。
もはやAさんの中ではわたしはヨサに通うことになっており、入会するかどうかではなく次の予約を取りに来た。そして回数券のほうがお得だと、何回分の回数券にするかを問うてきた。まだ世の中を知らない10代の頃ならば押し切られて回数券を買ってしまっていたかもしれないが、そこは場数を踏んできた34歳、強い気持ちを持って“今日は帰ります”と告げた。
しかしAさんは動じない。
必殺聞こえないふりの術をかましてきた。
ここで負けてはならない、再度強い心を持って“今日は帰ります”と告げた。
すると、さすがのAさんも引き下がってくれた。
恐ろしい、実に恐ろしい。これが洗脳というやつなのか?
水素水にチタニウムにヨサ、それぞれの魅力をその場にいる間中聞かされ、次々と物事を進められてしまった。断れてよかった、それなりに場数を踏んできてよかったと思った。
今回の体験記ではAさんのゴリ押しにフォーカスが当たってしまったが、施術自体は悪くなかった。マッサージも効果ありそうだったし、ヨサも汗が出て気持ちよかった。お土産にくれたヨサで使った残りのハーブ湯?を翌日のお風呂で湯船に入れたらいつもより発汗したし、香りも気持ちよかった。
如何せんAさんのパンチが強すぎてヨサが霞んでしまった。
ちょっと見てみると、ヨサって結構いろんなところでやってるっぽい。
施術してくれる人が自分に合えばそれなりに楽しめると思う。現にわたしも、Aさんじゃなければまた受けてみたいと思っている。1回で効果を実感出来たという口コミが多かったが、残念ながらわたしは大量に汗をかけただけで他の効果は感じられなかった。それどころか夜になってからとんでもない頭痛に襲われた。何事もやりすぎは体に良くないということね。わたしは基本ほっといてほしいタイプなので今回はきつかったが、Aさんのような喋りまくりな人が好みだという人もいるのだろう。
とても貴重な体験であった。